アーミッシュの助け合い

アーミッシュの信仰の教義の中には、他人を思いやりケアし、コミュニティで助け合うというものがあります。

私たちからアーミッシュを見ると、どうしても電気を使わないとか馬車に乗っているとかいうことに注目してしまいますが、アーミッシュのコミュニティのことを語る上で最も注目してほしいことであり、彼らがもっとも大切にしていることが助け合いです。

コミュニティのメンバーは、助けが必要なメンバーがいれば助けを与え、また自分が助けを必要であれば受けます。そういう風にして生きています。

もしメンバーの家に洪水や火事などの災害がおきれば、すぐにコミュニティで集結し、瓦礫などを取り除きみなで新しい家を立てます。家を建てるというのは文字通りみなで大工仕事を行います。この皆であつまり家を建てることは『バーンライジング (Barn Rasing)』と呼ばれます。

アーミッシュのバーンライジングはまさにこのコミュニティの繋がり・助け合いを象徴するもで、100人以上の人が集まり、一日ないし数日で、家・建物を建てます。この様子はハリソン・フォード主演の映画『ジョンブック:目撃者』でも描かれているのでぜひご覧ください。映画の内容は実際アーミッシュを知る人から見ると賛否両論なところもあるようですが、現地のローケーションなども楽しめるので良いかと思います。

当店とお付き合いのあるアーミッシュの家具工房も私たちアーミッシュの精神はこの『バーンライジング』に現れているというふうに言っていました。こうやって助け合いアーミッシュはコミュニティを成長させています。

また頻繁ではないですが、アーミッシュの人々はトルネードやハリケーンといった災害に合ったアーミッシュではない被害者のためにもコミュニティの外に出て助けをすることもあるそうです。

もちろんこれらの助け合いは何も自然災害に関することだけはありません。

アーミッシュは民間の営利目的の保険には加入していません。その代わりコミュニティではもしメンバーに病院の費用や予想外の出費が必要になった場合助け合うプランを用意しています。またそれだけでなく、特別に資金が必要になった場合、オークションやベークセールを行い、コミュニティみなで資金調達を行うこともあるようです。

*ベークセール:アメリカではよく行われる学校や教会などの会員が組織の資金を得るために焼いたお菓子を売る催し。

その他にも子どもたちの新学期には子どもたちの親があつまり用意をしたり、メンバーの家族が引っ越しをするときにはみなで家具を運んだりといった助け合いも。また怪我した農家は近隣の農家が収穫を手伝ったり。新しいカップルが家を建てるときも、親戚や近隣のアーミッシュが家を塗るのを手伝うなどもするそうです。

参考資料:Amish Studies The Young Center at Elizabethtown College